第6回JBAコーチカンファレンス報告

12月26日(土)日本バスケットボール協会(JBA)が開催する第6回コーチカンファレンス(オンライン)へ参加しました。Zoomウェビナーによる全国のバスケ指導者が参加する大規模なカンファレンスです。

今回は「育成年代」に関わるトップ指導者による講演とパネルディスカッションでした。

【第1部】

JBA指導者養成部会の鈴木良和氏より、習熟度別指導内容(男女プレーヤーが16歳頃までに習得すべき、基本技術からプレー戦術の基礎までの内容)やLTAD(Long Term Athlete Development・選手を育てる考え方)などの解説がありました。コーチの役割は子どもたちの課題を解決することではなく、子どもたちに課題を与えることである。というお話がとても印象的でした。世界の育成システムから学び、日本版の育成システムが整理・確立されつつあることを知り、とても興味深いお話でした。

JBA指導内容資料

【第2部】

「日本バスケットボールの将来に向けて」と題して、アンダーカテゴリー日本代表の萩原美樹子氏(女子ヘッドコーチ)佐古賢一氏(男子ヘッドコーチ)による講演がありました。

萩原氏からは、「FIBA U19女子バスケットボールワールドカップ2019」の試合映像を共有しながら解説がありました。世界の育成年代の選手と比べて、ドライブ・コンタクトやBOX OUTの弱さを、はっきりと認識することができました。初戦のドイツ戦はプラン通り勝利を収めたものの、目標だったメダル獲得(3位以内)に及ばず、準々決勝で敗戦した選手たちへの声掛けについて、とても貴重なお話がありました。招集メンバーには「みんなで」を超える個の強さを期待しているそうです。

佐古氏からは、ビックマンのオールラウンドプレイヤーを育てるため、ポジションのコンバートを積極的に行い、招集メンバーに対しては「やる気」と「取り組む姿勢」を重視しているというお話がありました。失敗体験と成功体験の中から自分で判断する力を育てる重要性や、ポジション別ミーティングによるインプットとアウトプットのコミュニケーション力を身につける工夫が、とても興味深かったです。オフェンスでは、ディフェンスリバウンドからのアウトレットパスより、ドリブルプッシュを優先し、5人がフロントコートへなだれ込む「ファストブレイク(速攻)」と「アーリーオフェンス(時間と手数をかけない早い攻撃)」を目標にして指導しているそうです。

【第3部】

パネルディスカッションでは、JBAパフォーマンス部会部会長の佐藤晃一氏がモデレーターとなって、萩原氏と佐古氏から「本音トーク」を引き出しました。

■U16までに各チームでやってきてほしいこと

(佐古氏)合宿に慣れるまで、なかなか声が出ないので、自己紹介や意思表示ができるようになってきてほしい。

(萩原氏)1対1の攻守ができるようになってほしい。

もっとも印象的だったのは、佐古さんの一流であることの考え方を知ったことでした。

自分だけのためにバスケをしている選手は二流。誰かのために、何かのためにバスケに取り組む選手は超一流。

前回のコーチカンファレンスに続いて、今回もとても多くのことを知り得る機会となり、得たことや感じたことを日頃のスクール活動に活かしたいと思います。早速、次回のカンファレンス参加が楽しみです。

JBAが掲げる「バスケで日本を元気に!」を合言葉に、日本のバスケをご一緒に盛り上げましょう!

大塚

2 Responses to 第6回JBAコーチカンファレンス報告

  1. 柴田典夫 より:

    岩手県でバスケット部を指導している者です。
    大変興味深いご報告を掲載して頂き、誠にありがとうございました。
    私自身は、案内が回ってきたのが直前すぎて、申し込みできず、貴重な機会を逃してしまっておりました。
    今、保護者対応で苦労しており、外で習ってきたセットプレーばかり部活動でやるよう要求されておりましたので、やはり基本は個の強化が重要であり、ボックスアウトなどの、意識と地道な努力が必要不可欠であると説明する根拠を頂いたような気がしております。
    また次の機会も、貴重なご報告をお聞かせ頂ければ幸いです。本当にありがとうございました。

    • 大塚勇一 より:

      コメントをありがとうございます。

      今回、トップの育成指導者たちの指導哲学(コーチングフィロソフィー)、選手へのアプローチ(声かけ、場の設定、段階的な組み立て)、ご自身の豊富な経験を惜しみなく伝達してくださり、本当に勉強になりました。

      普及・育成年代は、一人ひとりの性格、体格、技術、知識、モチベーションなど大きな個人差があり、時間差もあります。いろいろな軸を立体的に捉えて、その場その時に応じて臨機応変に指導内容を調整することに難しさがありますが、その分、一人ひとりの伸びしろ(成長)を感じながらアプローチできることに、やり甲斐を感じています。

      お互いに良い指導を目指しましょう!

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